【動画】補聴器の入出力特性に関する設問と解説
認定補聴器技能者試験:補聴器の入出力特性図を解説
この記事では、認定補聴器技能者試験(過去問)から、補聴器の入出力特性図(出力周波数特性)に関する問題とその解き方について解説します [1]。特性図は、難聴者の聞こえに合わせて調整された補聴器の、入力音圧レベル50 dBから90 dBにおける出力特性を示しています [1]。
1.特性図から直接読み取れる数値
特性図を読み取るだけで答えられる問題は、試験対策としてまず確実に把握すべき点です [2, 3]。
- 最大出力音圧レベルの制限 (2500 Hz): 2500 Hzのラインを見ると、出力の制限値は110 dBであることがわかります [4]。この設定は、耳を痛めないようにするための主要な目的です [4]。
- 特定入力レベルにおける出力音圧レベル: 入力音圧レベル70 dBにおいて、1 kHzでの出力音圧レベルは95 dB SPLです [4]。
2.音響利得(ゲイン)の計算
問題によっては、複数の周波数における平均値を計算する必要があります。
音響利得の公衆波数平均値の求め方:
「公衆波数平均値」は、1000 Hz、1600 Hz、2500 Hzの平均値と定義されています [2]。
例として、入力音圧レベル60 dBにおける平均利得を求めます [2, 5]。
利得(dB)は「出力レベル – 入力レベル」で計算されます [2]。
- 1000 Hz:出力 90 dB → 利得 30 dB (90-60) [2]
- 1600 Hz:出力 約92 dB → 利得 約32 dB [5]
- 2500 Hz:出力 100 dB → 利得 40 dB (100-60) [5]
これら3つの利得の平均値は、34 dBとなります [5]。
3.ノンリニア増幅(圧縮)の解析
ノンリニア増幅域を理解するためには、特性図を入力/出力軸に書き直すと分かりやすくなります [5]。
(1) ノンリニア増幅が始まる低力側2ポイント(Kneepoint)
リニア増幅は、入力が10 dB増加すれば、出力も10 dB増加する状態です [6, 7]。ノンリニア増幅(圧縮)は、入力が10 dB増加しても出力の増加が10 dB未満になる状態を指します [7]。
1 kHzの特性を見ると、入力が50 dBから60 dBに増加する際、出力は80 dBから90 dBへ10 dB増加しています(リニア) [6, 7]。しかし、60 dBを超えると、出力の増加は5 dBずつに変わります(ノンリニア) [7]。
したがって、リニアからノンリニアに切り替わるポイント(2ポイント)は、60 dB SPLです [8]。
(2) ノンリニア増幅域の圧縮費
圧縮費(Compression Ratio)は、ノンリニア増幅域において「入力の上昇幅」を「出力の上昇幅」で割った値です [8]。
この特性図のノンリニア増幅域では、入力が10 dB増えるのに対し、出力は5 dBしか増えていません [8]。
圧縮費 = 10 dB / 5 dB = 2 [8, 9]。
4.試験対策のヒント
特性図に関する問題は、慣れていれば図を見ただけで解けますが [10]、不確実な場合は、入力と出力の軸を入れ替えたグラフを書き直すことで、確実な解答に繋がります [5, 10]。また、認定補聴器技能者試験は時間が長いため、計算が必要な問題(本記事で扱った問題など)は、先に語句を答える問題などを終わらせてから、じっくり取り組むのが有効なテクニックです [3]。





























